大会長挨拶
大会長挨拶
この度、第48回日本死の臨床研究会年次大会を2025年11月1日(土)から2日(日)にかけて、岩手県盛岡市にて開催する運びとなりました。本研究会の歴史と伝統ある年次大会をお引き受けできることを大変光栄に存じますし、その責任の重さに身の引き締まる思いでおります。まずは、このような貴重な機会を賜りましたことに対し、研究会会員の皆様に心より感謝申し上げます。
今回の大会テーマ「“あめゆじゅ”を求め、向き合い、そして支える」は、詩人・宮沢賢治が最愛の妹トシの死に際して詠んだ詩『永訣の朝』の一節に由来しております。死を目前にした妹が「“あめゆじゅとてちてけんじゃ”」と兄に訴えたこの言葉は、「苦しみからの解放」、「生への渇望」とともに、「残される者への祈り」にも通じる深い願いであったと感じます。この切実な言葉には、私たちが「死の臨床」において目指す「真の援助」を求める姿勢が包まれており、今回のテーマにふさわしいものとして掲げさせていただきました。日本死の臨床研究会は約50年にわたり、「死の臨床」における支援の在り方を追求し、終末期を迎えた方々の多様な思いと苦悩に寄り添いながら、最適な援助の道を見出すことに努めてまいりました。援助者として相手の深層に寄り添い、その方が真に求める“あめゆじゅ”を見極めることは容易ではありませんが、私たちの活動の本質であり続けています。本大会では、ご参加くださる皆様とともに、これまでの死の臨床の実践と学びに思いを馳せ、各々が抱く“あめゆじゅ”をも問い直す場にできればと願っております。ここ岩手の地において、深い対話を通して支え手としての在り方を見つめ直し、新たな視座を共有できる機会となりますことを心より祈念いたします。
本大会が皆様にとって充実したものとなりますよう心よりお祈り申し上げます。皆様のご参加を心よりお待ちしております。
第48回日本死の臨床研究会年次大会 大会長
岩手医科大学 医学部 緩和医療学科
木村 祐輔
岩手県立大学 看護学部 成人看護学
高屋敷麻理子